【東都大学野球】「スター不在」還暦監督の勝負勘冴える

 ツキも実力のうちだ。東洋大の高橋監督は亜大の先発を左腕と予想し、右打者の雑賀を6番に起用。ところがマウンドに立ったのは右の北原。代打も考えたが「必ず左は出てくる。辛抱しよう」と思い直し…

 ツキも実力のうちだ。東洋大の高橋監督は亜大の先発を左腕と予想し、右打者の雑賀を6番に起用。ところがマウンドに立ったのは右の北原。代打も考えたが「必ず左は出てくる。辛抱しよう」と思い直した。

 同点の七回その雑賀が、やはり出てきた左腕、倉又から左翼席へ勝ち越し本塁打。「えっ、あれが雑賀のリーグ戦初ヒット? 知らなかった。神業だなあ」。勝負勘が冴えた指揮官は会心の笑みを見せた。

 一昨年までのエース大場(ソフトバンク)、昨年までの正捕手・大野(日本ハム)ら主力が次々と抜ける中、つかんだ5連覇。主将の小島は「苦しい試合も、いつかチャンスは来ると思って戦うことができた」と胸を張る。

 高橋監督も「スター不在でも、みんな最後まであきらめないからここまで来られた」という。6月の大学野球選手権には連覇、秋のリーグ戦には6連覇がかかるが「山を登ればまた次の山。いつ休ませてもらえるのかな」。還暦の指揮官は言葉とは裏腹にうれしそうだった。(三浦馨)