シベリア抑留死4万6300人の名簿、自費出版大賞に

今年度の自費出版大賞を受けた著作を手にする新潟県糸魚川市の村山常雄さん
 新潟県糸魚川市の元中学教員、村山常雄さん(83)の著書「シベリアに逝(ゆ)きし人々を刻(こく)す」が、655編の応募作から今年度の「日本自費出版文化賞」大賞に選ばれた。

 シベリア抑留中に死亡した日本人のうち約4万6300人分を10年がかりで名簿にまとめたもので、審査委員長の歴史家、色川大吉氏から「数十年の労苦で刻んだ、日本の出版の歴史に残るような記念碑的な作品」と高く評価された。

 村山さん自身、第2次大戦後の4年間、シベリアに抑留された。1969年、20年ぶりにシベリアを訪ね、かつての戦友たちの草むす墓地を見つけ、「名を残すことで亡くなった戦友を弔おう」と決意した。

 その後、墓参や調査で10回訪問。70歳を機に始めたパソコンを使い、ライフワークとして、約10年かけて抑留死者名簿を完成させた。うち約3万人は原資料のカタカナのほか、分かりやすいように漢字名も特定して併記した。

 2005年夏からインターネットのホームページで名簿を公開した。この功績で06年3月、第40回吉川英治文化賞を受けた。

 名簿公開の反響は大きく、書籍化を求める声が高まった。老後資金約1000万円を投じ、07年7月、重さ約2キロ、1000ページを超える大作を世に出した。

 同年、新潟出版文化賞の選考委員特別賞に輝いた。「全国的な評価は」と、日本自費出版文化賞に応募したところ、今月2日の最終選考会で見事、大賞に選ばれた。

 シベリアに抑留されて亡くなった元日本兵は、政府見解で約5万5000人。実際の犠牲者数は6万〜9万人ともいわれる。「名簿に載らない死者はまだたくさんいる。新たに判明し、補充すべきこともある。まだまだ終わりじゃない」。生きている限り、一人でも多くの死者を突き止めたいとの思いは募るばかりだ。

 同書はB5判、7500円(税込み)。問い合わせは村山さん(0255・66・2230)へ。

(2009年6月10日07時27分 読売新聞)

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