羽生名人が勝ち2勝1敗に 将棋名人戦七番勝負第3局

第67期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社毎日新聞社主催)の第3局は、8日午前9時から広島県福山市の福寿会館で2日目が指し継がれ、午後9時7分、羽生善治名人(38)が挑戦者の郷田真隆九段(…

 第67期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社毎日新聞社主催)の第3局は、8日午前9時から広島県福山市の福寿会館で2日目が指し継がれ、午後9時7分、羽生善治名人(38)が挑戦者の郷田真隆九段(38)に120手で勝利。対戦成績を2勝1敗とし、6期目の名人位に一歩前進した。第4局は20、21日、和歌山県高野町金剛峯寺で。

 1勝1敗で迎えた福山決戦は、両者の気合がぶつかり合い、一触即発の「横歩取り」の戦いになった。01年、丸山忠久名人に谷川浩司九段が挑戦した第59期名人戦七番勝負の第7局などの前例がある将棋で、どう変化するかが焦点になった。

 第1局で3時間26分、第2局で2時間33分と大長考を連発した挑戦者が、本局でも2時間39分の大長考で封じた45手目は、前例のある先手2三歩。攻めの姿勢を見せた挑戦者に対し、名人の50手目後手5六同馬が新工夫の一手で、未知の局面に突入した。

 解説の井上慶太八段によると、名人の54手目後手5二玉が「局面の流れを緩やかにした、柔らかい好手」。68手目後手7六歩は「含みを持たせた、名人らしい手」。力のこもった渋い手の応酬の中、羽生名人の長所が光った。

 夜戦に入り、挑戦者も粘り強く指し、難解な局面が続いた。「郷田挑戦者が勝ちになった局面もあった」(井上八段)が、107手目の先手7八玉が「後手玉に詰みが生じた」と錯覚した失着。最後は名人が勝ちを引き寄せた。持ち時間9時間のうち、残りは先手番の挑戦者1分、名人4分だった。井上八段は「形勢が二転三転した大熱戦でした」と話した。

(佐藤圭司)

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 羽生名人の話 終盤はずっとよくわからなくて、負けのような気がしていた。最後に後手6二桂(110手目)と合駒してよくなったと思った。

 郷田挑戦者の話 終盤は飛車を取って勝ちになったと思ったが、先手8二飛(109手目)のところで先手6四桂から詰むと錯覚していた。

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